唾液腺

1. シェーグレン症候群の発症メカニズム

シェーグレン症候群は、ドライマウス、ドライアイを主症状とする自己免疫疾患である。徳島大学歯学部口腔分子病態学の林 良夫教授らによる動物モデルを用いた研究から、シェーグレン症候群の唾液腺特異的自己抗原として120kDのα-fodrinが同定され、T細胞による自己免疫反応により唾液腺が障害される可能性が示唆されている。我々は、シェーグレン症候群患者の口唇小唾液腺と末梢血単核球を用いて、シェーグレン症候群患者におけるα-fodrinに対する自己免疫反応を検討した。

シェーグレン症候群患者の唾液腺にはリンパ球が浸潤しているが、そのリンパ球の主体はCD4陽性、Fas ligand陽性のT細胞であり、Fasは唾液腺導管上皮細胞に発現していた。さらに、シェーグレン症候群の口唇小唾液腺において、自己抗原と考えられている120kDのα-fodrinが唾液腺導管上皮細胞に発現していた。また、シェーグレン症候群の末梢血単核球細胞からCD4陽性T細胞を分離し、リコンビナントα-fodrin N-terminus (AFN) と反応させたところ、健常者と比較して有意に高い増殖反応性が認められた。特に、発症からの期間が短い、年齢の若い、小唾液腺生検で病理スコアの高いSS症例でAFN蛋白に対して有意な増殖反応性を認めた。

この結果から、シェーグレン症候群に特徴的な唾液腺導管の破壊は、浸潤リンパ球によるα-fodrinをターゲットとする自己免疫反応により、Fasを介したアポトーシスにより引き起こされると考えられた。

2. ミクリッツ病の発症メカニズム

涙腺と唾液腺に対称性に持続的な腫脹を認め、下口唇小唾腺に著明な炎症細胞浸潤を認め、サルコイドーシスや悪性リンパ腫が否定的であった3症例を、診断基準(案)に基づきミクリッツ病と診断し、臨床的検討を行った。

3症例とも血清IgG4が異常高値を示し、下口唇小唾腺にIgG4陽性形質細胞の浸潤を認めた。2症例にステロイドを投与し、腺組織の腫脹は著明に軽減した。一方、眼と口腔の乾燥症状は軽度であり、抗SS-A抗体、抗SS-B抗体は3症例とも陰性であった。ミクリッツ病はシェーグレン症候群と異なる疾患であり、IgG4関連疾患と考えられた。

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