• 徳島大学 大学院医歯薬学研究部
  • 徳島大学 耳鼻咽喉科・頭頸部外科学分野

Department of Otorhinolaryngology-Head and Neck Surgery, Tokushima University Graduate School of Biomedical Sciences

嚥下

1. カプサイシン軟膏を用いた新しい誤嚥治療法の開発

嚥下障害患者の外耳道をカプサイシン軟膏で刺激することにより、嚥下機能改善する治療法を開発した。

2. 喉頭気管分離術

重症身障児の誤嚥防止手術は、児の呼吸不全の要因を取り除き、進行を防止することにある。喉頭気管分離術の適応として、1)嚥下性肺炎の反復、2)3歳、5kg以上、3)両親の音声言語機能廃絶の容認、4)介護状況、5)医療チームの存在、を設けて、国立香川小児病院において2004年より開始した。

喉頭気管分離術は嚥下性肺炎の防止に有効である。しかし、経口摂取は一部で可能となるものの、全量摂取までは至らず、補食にとどまることが大部分であった。在宅から手術になった症例は、在宅に戻ることが可能であったが、施設入所者は入所のままで在宅は困難であった。

3. 誤嚥防止のための喉頭全摘出術

筋萎縮性側索硬化症例に対する誤嚥防止手術として、2005年より国立徳島病院で喉頭摘出術を開始した。筋萎縮性側索硬化症例では、嚥下関連筋群の筋力低下により嚥下メカニズムが破綻し、気管切開による喉頭挙上障害により、嚥下性肺炎を反復する。しかし、口腔・咽頭知覚が保持されていて、摂食が最大の楽しみである。このような症例に対しては、喉頭気管分離術より喉頭摘出術が誤嚥防止手術として有効である。

創部をできるだけ小さくし、咽頭収縮筋の縫合は甲状咽頭筋の頭側半分に留め、下咽頭腔を広く保つようにし、咽頭腔狭小化を防止した。下咽頭・喉頭粘膜の知覚を温存するために、上喉頭神経内枝の温存と反回神経のGalen吻合を温存した。その結果、嚥下性肺炎を防止し、残存嚥下機能の維持がはかられた。