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音声・喉頭

1. 健常人と反回神経麻痺患者における喉頭筋電図のmotor unit

反回神経麻痺の神経障害を評価するために、喉頭筋電図が行われる。Motor unit活動電位の持続時間は、神経筋疾患の診断に有用であるが、加齢の影響を受けることが知られている。加齢によるmotor unitの持続時間の延長は、denervation、collateral sprouting、reinnervationによるmotor unit remodelingの結果と考えられている。

A. 健常人における甲状披裂筋のmotor unitの持続時間の加齢変化

健常人の甲状披裂筋のmotor unitの持続時間を測定し、その加齢変化と左右差について検討した。甲状披裂筋から記録したmotor unitを切り出して重ね合わせることで同一のmotor unitであることを判定し、持続時間を測定した。その結果、甲状披裂筋のmotor unitの持続時間は60歳以下では年齢による変化を認めなかった。しかし、60歳以上では、甲状披裂筋のmotor unitの持続時間が有意に延長していた。また、60歳以下では、左側の甲状披裂筋のmotor unitの持続時間が、右側に比較して有意に延長していた。

以上の結果から、反回神経は加齢に伴う神経障害によりmotor unit remodelingが生じていると考えられた。また、60歳以下であっても、左側の反回神経は大動脈を回って喉頭を支配するため走行距離が右側と比べて長いため、生理的環境であっても神経障害が生じている可能性が考えられた。

B. 反回神経麻痺患者の喉頭筋電図におけるmotor unitの持続時間

神経が障害された後に再支配を受けると、motor unitの持続時間が延長する。そこで、片側反回神経麻痺患者の甲状披裂筋の筋電図を記録し、motor unitの持続時間を患側と健側を比較した。記録したmotor unitを切り出して重ね合わせることで同一のmotor unitであることを判定し、持続時間を測定した。その結果、反回神経麻痺患者の麻痺側の甲状披裂筋のmotor unitの持続時間は、健側と比べて有意に持続時間が延長していた。この結果は、麻痺側の甲状披裂筋へ反回神経のdenervation後のreinnervationによるmotor unit remodelingが生じていることを意味している。しかし、麻痺側の声帯の可動性は回復しておらず、反回神経障害のreinnervationだけでは、声帯の協調した可動性の回復が困難であることを示唆している。

2. 喉頭截開術

喉頭截開術は前頸部を皮切後、甲状軟骨を正中で垂直に切開し、喉頭内腔へアプローチする術式である。本法は喉頭内の構造を前後にわたって広く観察することができるため、経皮的に喉頭内にアプローチするには、最も有用な術式である。喉頭截開術の適応は、喉頭癌(T1、T2の声帯癌)、喉頭外傷、喉頭狭窄、経直達鏡下に摘出できない良性腫瘍である。喉頭截開術の歴史と適応、手術手技、問題点と合併症について解説した。また、放射線治療後の再発喉頭癌症例、喉頭閉塞症例を呈示し、喉頭截開術が気道確保にも有用であることを示した。

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