• 徳島大学 大学院医歯薬学研究部
  • 徳島大学 耳鼻咽喉科・頭頸部外科学分野

Department of Otorhinolaryngology-Head and Neck Surgery, Tokushima University Graduate School of Biomedical Sciences

耳鼻咽喉科専門研修プログラム

【徳島大学病院耳鼻咽喉科専門研修プログラムの募集は以下をご覧下さい。】

Ⅰ.はじめに

耳鼻咽喉科・頭頸部外科では早期より臨床経験が豊富に積める機会が多く、入局後の将来に関しても多彩な進路(大学病院、関連病院、大学院、社会人大学院、留学、開業など)が可能です。最近の入局実績は、平成8年3名、平成9年4名、平成10年3名、平成11年5名、平成12年2名、平成13年4名、平成14年4名、平成15年1名、平成17年1名、平成18年4名、平成21年1名、平成22年1名、平成23年5名、平成24年5名、平成25年1名、平成27年4名、平成29年4名、平成30年3名、令和元年2名、令和2年2名です。

耳鼻咽喉科・頭頸部外科は臓器別ではなく、頭頸部という部位によって規定された科です。すなわち、頭頸部の眼球と脳頸髄を除く全ての疾患を扱うことから、耳鼻咽喉科・頭頸部外科と呼ばれています。頭頸部の悪性腫瘍も全て当科が担当しています。

耳鼻咽喉科・頭頸部外科は、鼻、口腔、咽頭、喉頭の気道、消化管を担当していることから、呼吸、嚥下という生命維持に不可欠な機能とその障害を扱い、治療する科です。また、聴覚、平衡覚、味覚、嗅覚などの多くの感覚器、発声器官や顔面神経などの運動器も扱います。聴覚と発声は最も重要なコミュニケーション手段であると同時に、好きな音楽を聞いたり歌ったりする楽しみに必要な機能です。耳鼻咽喉科・頭頸部外科は、患者さんが大いに楽しい人生を送るための手助けを行うことのできる科でもあるのです。このように耳鼻咽喉科・頭頸部外科の担当範囲は、想像以上に広く、興味の尽きることはありません。耳鼻咽喉科・頭頸部外科を専門医研修にぜひ、選択していただきたいと思います。

Ⅱ.耳鼻咽喉科専門研修プログラム

1)耳鼻咽喉科専門研修プログラム

耳鼻咽喉科専門医は、臨床研修修了後に4年間の専門研修プログラムを修了すると受験資格ができます。

徳島大学医学部耳鼻咽喉科・頭頸部外科専門研修プログラムでは、専門研修基幹施設である徳島大学病院と地域の中核医療を担う病院群(Aグループ)、および地域医療を担う病院群(Bグループ)の計10の研修施設において耳鼻咽喉科研修を行います。

Aグループ: 徳島市民病院、徳島県立中央病院、徳島赤十字病院、高知赤十字病院
Bグループ: 吉野川医療センター、阿南医療センター、高松市立みんなの病院、屋島総合病院、JA高知病院、国立病院機構高知病院

それぞれの施設において、定められた研修到達目標や定められた数の疾患、手術を研修します。

4年間の研修期間中、1年目は徳島大学病院で耳鼻咽喉科の基本的知識、診療技術を習得します。2・3年目は、AグループもしくはBグループの病院群のいずれかにおいて研修を行います。4年目は2・3年目にAグループを選択した専攻医はBグループもしくは徳島大学病院での研修を選択し、Bグループを選択した専攻医はAグループもしくは徳島大学病院での研修を選択します。

4年間の研修中に学会発表、論文の作成を行い、プレゼンテーションの技術も学びます。また、研修中に社会人大学院へ進学し、診療・研修を行いながら基礎研究や臨床研究を行うことも可能です。

【基本的研修プラン】
臨床研修 1年目 2年目 3年目 4年目
徳島大学病院 Aグループ Bグループ
Aグループ 徳島大学病院
Bグループ Aグループ
Bグループ 徳島大学病院
1年目(令和2年度): 徳島大学病院にて研修
2年目(令和3年度): Aグループ(徳島市民病院、徳島県立中央病院、徳島赤十字病院、高知赤十字病院)もしくはBグループ(吉野川医療センター、阿南共栄病院、高松市民病院、屋島総合病院、JA高知病院、国立高知病院)において研修を行う。
3年目(令和4年度): 令和3年度に引き続き、選択した病院で研修を行う。
4年目(令和5年度): 2, 3年目で選択していないグループもしくは徳島大学病院で研修を行う。

【令和2年度徳島大学医学部耳鼻咽喉科・頭頸部外科専門研修プログラム】

令和2年度の徳島大学病院を基幹施設とした徳島大学医学部耳鼻咽喉科・頭頸部外科専門研修プログラムPDF(専門研修プログラム統括責任者:武田憲昭)による専門研修を実施します。登録を希望する先生は、あらかじめ佐藤 豪 総務医長(go-sato@tokushima-u.ac.jp)までメールで連絡の上、登録をお願いします。
取得できる専門医

日本耳鼻咽喉科学会認定耳鼻咽喉科専門医
日本気管食道科学会認定気管食道専門医
日本頭頸部外科学会認定頭頸部がん専門医
アレルギー専門医
臨床遺伝専門医
がん治療認定医

2)大学病院での専門研修週間スケジュール

外来診療は火・木を初診日、月・水・金を再診日として診療をしています。また、難聴外来・めまい外来・顔面神経外来、頭頸部腫瘍外来、鼻・アレルギー外来、小児専門外来、唾液腺外来、睡眠時無呼吸外来、味覚・嗅覚外来などの多数の専門外来を充実させており、頭頸部の各疾患に対して専門的アプローチを行っています。

当科の手術実績は年間約700件で、その内訳は耳:約90件、鼻:約230件、咽喉頭:約200件、頭頸部腫瘍:約170件と頭頸部全般にわたっています。

  午前 午後
外来診療、病棟診療、手術 手術
外来診療 教授回診、カンファレンス、医局会
外来診療、病棟診療、手術 手術
外来診療、病棟診療 専門外来診療
外来診療、病棟診療 手術、グループカンファレンス

3)研究・大学院

専門医取得前に大学院に進学するコース:動物実験中心

4年間のうち2年間は研究専念期間を設ける、留学を目指す

専門医取得前後に大学院に進学するコース:臨床研究中心

社会人大学院生

4)学会認定のある研修関連病院一覧

耳鼻咽喉科・頭頸部外科より常勤の医師を派遣している関連病院は、徳島県に6施設、香川県に2施設、高知県に3施設、兵庫県に1施設あり、その他パートとして医師を派遣している施設が多数あります。いずれの施設も地域の中核病院であり、パートとして派遣している病院も医師派遣の余裕があれば十分常勤施設となる病院です。

認定施設の種類 教育病院 関連施設
日本耳鼻咽喉科学会
認定研修施設
徳島大学病院 徳島県立中央病院、徳島赤十字病院、徳島市民病院、阿南医療センター、吉野川医療センター、高松市立みんなの病院、屋島総合病院、高知赤十字病院、JA高知病院、国立病院機構高知病院
日本気管食道科学会
認定研修施設
徳島市民病院  
日本頭頸部外科学会
認定研修施設
徳島大学病院  

5)国内外への臨床・研究留学

海外留学では英国インペリアル大学、米国ピッツバーグ大学、米国ミネソタ大学、米国NIH、ニュージーランド・オタゴ大学。国内臨床では、国立がんセンター東病院、大阪国際がんセンター、大阪母子医療センターなど。

Ⅲ.教育指導体制

1)指導スタッフ一覧表(氏名、役職、専門領域、資格ほか)

氏名 役職 専門領域 資格ほか
北村嘉章 教授 鼻科学、鼻アレルギー、頭頸部腫瘍学 耳鼻咽喉科専門医、専門研修指導医、アレルギー専門医・指導医、頭頸部がん専門医・指導医、がん治療認定医、鼻科手術指導医、補聴器適合判定医師
佐藤 豪 准教授 めまい平衡医学 耳鼻咽喉科専門医、専門研修指導医、日本めまい平衡医学会専門会員、耳科手術指導医、めまい相談医、バラニー学会(国際めまい平衡学会)会員、騒音性難聴担当医、補聴器適合判定医師、補聴器相談医、音声言語機能判定医師
東 貴弘 講師、総務医長 耳科学、顔面神経、難聴 耳鼻咽喉科専門医、専門研修指導医、顔面神経麻痺相談医、補聴器相談医、補聴器適合判定医師、がん治療認定医、耳管ピン手術実施医
近藤英司 講師、病棟医長 小児耳鼻咽喉科学、嚥下 耳鼻咽喉科専門医、専門研修指導医、嚥下相談医、補聴器相談医
神村盛一郎 助教、外来医長 鼻科学、鼻アレルギー 耳鼻咽喉科専門医、アレルギー専門医、専門研修指導医、補聴器相談医、がん治療認定医
庄野仁志 助教 味覚 耳鼻咽喉科専門医、専門研修指導医
金村 亮 助教 頭頸部腫瘍学 耳鼻咽喉科専門医、専門研修指導医、頭頸部がん専門医、がん治療認定医
遠藤亜紀 医員   耳鼻咽喉科専門医
石谷圭佑 医員   耳鼻咽喉科専門医
石谷えみ 医員   耳鼻咽喉科専門医
高岡 奨 医員   耳鼻咽喉科専門医
戸村美紀 医員   耳鼻咽喉科専門医
石谷祐記 医員   耳鼻咽喉科専門医
藤野勝也 医員   耳鼻咽喉科専攻医
國方脩登 医員   耳鼻咽喉科専攻医
高岡 俊 医員   耳鼻咽喉科専攻医

2)診療内容・診療実績

当科の手術実績は年間約700件で、その内訳は耳:約90件、鼻:約230件、咽喉頭:約200件、頭頸部腫瘍:約170件と頭頸部全般にわたっています。

聴覚:聴力を取り戻す、音のある生活を

当科の慢性中耳炎に対する聴力改善手術の成績は格段に向上し、低侵襲の短期入院手術も導入しています。耳硬化症などの疾患にも積極的に手術を行い、劇的に聴力を改善できるようになりました。さらに、高度感音難聴に対しては最も成功した人工臓器と言われる人工内耳手術を導入し、良い成績をおさめています。

平衡覚:めまいの原因を探る、めまいを治す

めまいを訴える患者さんは非常に多く、めまいは最も頻度の高い主訴の1つです。当科では眼振の3次元解析などの新しい診断法を開発し、臨床に応用して診断の精度を高めています。また、難治性のめまい患者に対してTPADと呼ばれる新しい機器を用いた平衡訓練を行っています。保存的治療だけでなく、めまいに対する理学療法や手術療法も積極的に行っています。

鼻・アレルギー外来:アレルギーを治す

アレルギー性鼻炎は増加の一途をたどっています。アレルギー性鼻炎の治療は内服薬や点鼻薬による治療が第一選択となります。アレルギー性鼻炎の手術療法としてはレーザー手術が一般的になってきました。当科では、さらにくしゃみ、鼻水、鼻閉の全てを改善する内視鏡下後鼻神経切断術を行っています。

睡眠時無呼吸:いびき?睡眠時無呼吸?

睡眠時無呼吸症候群はNasal CPAPが保険適用になり、第一選択の治療として広く使われています。しかし、Nasal CPAPを使用するためには鼻閉改善の手術が必要になる症例があります。また、咽頭形成術などの手術によってNasal CPAPを使用しなくても睡眠時無呼吸を改善できる症例もあります。当科では睡眠時無呼吸に対して、内科的治療・外科的治療の両方を組み合わせた治療を行っています。

頭頸部腫瘍:頭頸部癌の治療は治療効果の改善と機能温存を

頭頸部の良性・悪性腫瘍は、耳鼻咽喉科・頭頸部外科が扱っています。頭頸部には神経や血管、感覚器など様々な機能を持つ器官が集中しており、悪性腫瘍の治療には生存率の改善とともに機能の温存を目指さなければなりません。当科では早期および進行癌の一部には化学療法を同時併用した放射線治療を行い、それ以上の進行癌に対しては拡大切除・再建手術を行っています。最近は進行癌の治療として超選択的動注化学療法を積極的に導入し、良好な成績をおさめています。

3)研究内容

耳鼻咽喉科・頭頸部外科では耳、鼻、咽喉頭、腫瘍の幅広い範囲にわたって研究を行っています。医学は人を幸せにする学問であるという理念に基づき、実際に臨床の場で応用もしくは役立つ研究を目指しています。

当科の研究結果より、徳島大学耳鼻咽喉科・頭頸部外科は2件の高度先進医療を開発し、厚生労働省へ申請しています。

高度先進医療の申請

1)血清ACE活性比を用いた亜鉛欠乏性味覚障害の診断
2)バイオフィードバック療法を用いた顔面神経麻痺後遺症の予防

特許の申請、知的財産の開発

1)形状記憶鉗子:新しい耳鼻咽喉科専用内視鏡
2)眼球運動3次元主軸解析
3)LEDを用いた鼻炎予防装置
4)嚥下の治験薬

ベンチャー起業

1)バーチャルリアリティーを用いた平衡訓練

4)同門会、病診連携組織

徳島大学医学部耳鼻咽喉科学教室員および出身者を会員とする同門会が組織され、同門会誌「さつき」が発刊されています。

各医院と地域の中核病院との病診連携が行われています。

Ⅳ.メッセージ

当科では、耳鼻咽喉科・頭頸部外科の全ての担当範囲において国際レベルの医療を導入し、同時に、明るく、積極的で、公平な世界一の耳鼻咽喉科・頭頸部外科を目指しています。頭頸部のスペシャリストを目指しませんか?

Ⅴ.連絡先

徳島大学病院耳鼻咽喉科・頭頸部外科

TEL:088-633-7169
FAX:088-633-7170
電子メール 東 貴弘 総務医長 azuma.takahiro@tokushima-u.ac.jp
ホームページURL http://www.toku-oto.umin.jp/