顔面神経麻痺
Bell麻痺
Bell麻痺は末梢性顔面神経麻痺の約60%を占め、最も頻度が高いです。
病因としては多くの仮説が提唱されており、虚血説、自己免疫説、ウイルス説などがあります。
症状はほとんど一側性の急性の顔面神経麻痺で発症しますが、前駆症状として耳後部痛や味覚障害、流涙増加あるいは低下などがおこる事もあります。
検査
血液検査、ENoG(electroneurography)、聴力検査、流涙検査、味覚検査、アブミ骨筋反射検査、画像検査、平衡機能検査。
治療
早期の治療により比較的予後良好な病気ですが、発症当初は軽くても数日で進行する例もあり、発症後できるだけ早く受診することを勧めます。
当科ではステロイド・血管循環改善薬による点滴治療を行っています。
Ramsy Hunt症候群(Hunt症候群)
Hunt症候群は顔面神経の膝神経節に潜伏感染した水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)の再活性化によっておこる病気で、主に顔面神経及び聴神経障害を示します。
症状は1.外耳道及び耳介周囲の帯状疱疹、2.顔面神経麻痺、3.耳鳴・難聴・めまいなどの内耳症状で、出現した症状により完全型と不完全型に分かれます。
検査
血液検査、ENoG(electroneurography)、聴力検査、流涙検査、味覚検査、アブミ骨筋反射検査、画像検査、平衡機能検査。
治療
Hunt症候群の帯状疱疹は予後良好で神経痛を残すことはまれです。難聴は高度のものは少ないですが、めまいは他の症状が改善された後もふらつきが続くことがあります。
顔面神経麻痺は治療を行った場合でも60から70%台で、Bell麻痺の完全治癒率が90%を超えることと比較すると予後は不良と言われます。発症後できるだけ早く受診することを勧めます。
当科ではステロイド・血管循環改善薬に加えて抗ウイルス薬よる点滴治療を行っています。
陳旧性顔面神経麻痺における共同運動
強い顔面神経麻痺をきたした人は、口を動かしたときに眼が閉じてしまうような共同運動といった後遺症が出ることが多いので、早いうちからリハビリテーションを受けることが必要です。当科で行っているバイオフィードバック療法はこのようは後遺症に対して非常に良好な成績を持っています。
顔面痙攣
顔面神経外来では顔面神経麻痺のほかに、顔面痙攣や、顔面ジストニアなどの不随意運動の診断と治療も行っています。不随意運動とは、顔を動かそうとしてないのに自然に不快な動きが出る病気です。 不随意運動に対してはボツリヌスという薬剤が非常に有効であり、世界中で広く用いられています。徳島県でこの治療方法を受けられる施設は今のところ徳島大学医学部付属病院だけで、耳鼻咽喉科で治療が受けられます。