• 徳島大学 大学院医歯薬学研究部
  • 徳島大学 耳鼻咽喉科・頭頸部外科学分野

Department of Otorhinolaryngology-Head and Neck Surgery, Tokushima University Graduate School of Biomedical Sciences

医局写真

第34回日本耳鼻咽喉科学会秋季大会

会期 会場開催:2020年11月7日(土)~8日(日)
WEB開催:2020年11月20日(金)~12月11日(金)
場所 大阪国際会議場
実行委員長 武田憲昭(徳島大学医学部耳鼻咽喉科)

2020年11月7日、8日に、武田教授が実行委員長として第34回日本耳鼻咽喉科学会秋季大会を大阪国際会議場で開催しました。

第34回日耳鼻秋季大会を終えて

第34回日耳鼻秋季大会実行委員長
武田憲昭

1. はじめに

第34回日耳鼻秋季大会を、令和2年11月7日(土)、8日(金)に大阪国際会議場において会場開催を行い、11月20日(金)~12月11日(金)にWeb開催を行いました。担当は中国・四国ブロックで、実行委員長は武田、プログラム委員長は山下裕司教授(山口大)、実技講習委員長は羽藤直人教授(愛媛大)が務め、中国・四国ブロックの地方部会から推薦された委員で実行委員会を組織し、運営事務局である(株)コングレと共に運営を行いました。

2. 初めての秋季大会

初めてとなる日耳鼻秋季大会では、専門医講習会の領域講習、共通講習、実技講習、夏期セミナーの専攻医講習、補聴器相談医委嘱のために講習会に加えて、日本臨床耳鼻咽喉科医会セッションを設立記念講演会として実施し、GSK医学教育事業助成プログラムのハンズオンセミナーも実施しました。しかし、新型コロナウイルス感染症の流行拡大のため、残念ながら懇親懇談会は中止しました。

専門医講習では、第1、2会場で11の耳鼻咽喉科領域講習と3つの専門医共通講習を行い、実技講習は1日目に5実技室で3回、2日目には7実技室で2回、計29講習を行いました。共通講習では感染対策、医療安全、医療倫理を実施しました。感染対策では島根大学の吉山裕規先生と名越 究先生にタイムリーなテーマである「COVID-19パンデミックと感染予防対策」をご講演いただきました。領域講習では、Plenary sessionに「耳鼻咽喉科医による在宅医療の実際」を取り上げ、現状と課題(宇高二良先生)、在宅嚥下障害医療(西山耕一郎先生)、在宅気道管理(鹿野真人先生)、在宅頭頸部腫瘍管理と限界(田村 学先生)、難聴児のオンライン診療(神田幸彦先生)の講演と総合討論を実施しました。また、「頭頸部外科医のノンテクニカルスキル」「高齢者の頭頸部癌にどう対処するか」、「学校保健における諸課題とその対応:一側性難聴児と、障害児の摂食嚥下障害」、「小児の喉頭疾患」など、これまでの専門医講習会であまり取り上げられてこなかったテーマの領域講習も実施しました。実技講習では、人気の高い「補聴器適応の実際」、「前庭リハビリテーションと見えるEpley法」などに加えて、新しく「咽喉頭の悪性腫瘍を見逃さない内視鏡検査と内視鏡下生検」なども実施しました。

また専攻医講習では、専攻医を対象として、12階の特別会議室で6つの講習に加えて、新しく2つの専門医認定試験過去問解説講座:鼻科領域(清水猛史先生)、頭頸部領域(門田伸也先生)を行いました。補聴器相談医委嘱のための講習会では、新規に補聴器相談医の委嘱を受ける専門医のために、6時間の講義と2時間の実習(補聴器特性測定と耳型採型)を行いました。

2020年4月に設立された日本臨床耳鼻咽喉科医会の設立記念講演会では、自見はなこ先生(参議院議員)にお越しいただき、耳鼻咽喉科領域講習として「成育基本法における耳鼻咽喉科の役割」を、森山 寛前理事長と白根雅子日本眼科医会会長には専門医共通講習として「医会組織の必要性と他科との連携」をご講演いただきました。GSK医学教育事業助成プログラムでは、専攻医と臨床復帰医師を優先し、耳科手術と鼻科手術のハンズオンセミナーを行いました。

3. 感染対策とハイブリッド開催

しかし、新型コロナウイルス感染症の流行拡大のため、第121回日耳鼻学術講演会が5月から10月に延期され、会場開催とWeb開催のハイブリッド開催になったことから、第34回日耳鼻秋季大会もハイブリッドで開催することになりました。会場開催では、十分な感染対策を行うと同時に、共通講習、領域講習、専攻医講習では会場への入室人数を定員の50%に制限しました。実技講習や補聴器講習会の実習では、参加者にマスクだけでなくフェイスシールドの着用も必須とし、受講者の定員を50%に制限しました。そのため、実技講習と補聴器講習会は早々と満席となり、申し訳なく思っています。

Web開催では、領域講習、共通講習、専攻医講習、日本臨床耳鼻咽喉科医会セッションの会場開催を収録し、秋季大会のホームページから視聴できるようにしました。現地開催と同じプログラムの録画をオンデマンドで視聴することができ、現地での受講だけでなく、Webでの受講でも専門医更新のための単位を取得することができるようにしました。また、現地で受講された先生も、Web開催を受講することができ、追加の単位を取得することができるようにしました。急遽、決まったWeb開催でしたが、収録と録画の配信を比較的スムーズに行うことができました。

4. 会場開催とWeb開催の参加者数

ハイブリッド開催に変更したことから、事前参加登録者数を心配していましたが、会場参加登録者数839名、Web参加登録者数4,262名であり、有料参加登録者数の合計は5,101名(うち非専門医は350名)と過去最高でした。司会や講師として参加の161名を合わせて第34回秋季大会の参加者の合計は5,262名になりました。当日、会場には1,002名の先生が参加され、協力企業や運営会社の社員と合わせると、大阪国際会議場に1,200名以上が参加しました。参加された先生方には入口で検温と問診票を提出していただき、企業の社員の方には医務室を設けて検温、問診票、医師によるチェックを行い、手指消毒、マスク着用、3密を避けて席を空け、可能な限り換気を行いました。その結果、1人の感染者も出すことなく、無事に会場開催を終えることができました。

Web開催では、12月4日の終了日が近づいても毎日1,000名以上の視聴があったことから、12月11日までWeb開催を延長し、合計40,554回の視聴がありました。参加者1人が平均8回の視聴されたことになります。1人の視聴回数は1回~16回、12回の視聴をされた先生が最も多かったです。多くの先生が事前参加登録をされ、会場での受講に加えて、Web開催でも熱心に視聴して下さり、実行委員長としての責任を果たすことができたと安堵しています。

5. 今後の課題

Web開催では、オンデマンドで全ての講習を繰り返し視聴することができたため好評でした。アンケートでも、今後の秋季大会でハイブリッド開催やWeb開催を希望する意見が多く寄せられました。しかし、ハイブリッド開催になったことから、Web開催の費用が増加しました。また、会場に出席される先生が少なくなりますと、ランチョンセミナーや機器展示への企業の協力が得られにくくなることが予想され、ハイブリッド開催の運営上の問題点も明らかになってきました。また、医療と取り巻く環境の変化が、実技講習や補聴器講習会の実習にも影響を与えています。今回から実技講習は1コマ1,000円、補聴講習会は10,000円の実費をいただくことになりましたが、まだ問題点が残っています。

6. おわりに

最後に、秋季大会を開催するにあたり、貴重なアドバイスをいただきました森山 寛前理事長、村上信五理事長をはじめ日耳鼻役員の方々、学術委員会、卒前・卒後教育委員会、専門医制度委員会の先生方、司会や講師の担当をご快諾いただきました先生方に心より御礼申し上げます。また、準備の段階から多大なるご協力をいただきましたプログラム委員長の山下裕司教授、実技講習委員長の羽藤直人教授、中国四国ブロックの実行委員の先生方、(株)コングレの担当者にも改めて感謝申し上げます。

第35回日耳鼻秋季大会は、令和3年11月20日(土)、21日(日)に山岨達也実行委員長のもと、パシフィコ横浜で開催されます。また多くの会員の先生方のご参加をお願いいたします。

第34回日本耳鼻咽喉科学会秋季大会http://www.congre.co.jp/syukitaikai34/